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家庭料理をお店の料理に近づけるための6つの提案

 

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ぼくは家でも料理を作るし、料理人として料理屋でも働いていた。だから、どちらの作り手の気持ちもわかるのだけれど、常々思っていたことがある。それを書きたい。

 

まず、「家庭料理と料理屋の料理は全く別物、家で同じものを求められても困る」と、いいたい。双方の違いは後の各項の中で一つ一つ説明するが、その違いを一言で言うと「料理をする目的が違う」ということになる。

 

片や商品としてお客さまから代金を頂く料理、片や対価を求めない家族を養うための料理である。目的が違うので、作り手の頭の中で考えていることも違う。

とはいえ、食い手からは美味しさを求めらるという点では同じだ。そこの葛藤にどう折り合いをつけつつ、家庭の料理を料理屋のクオリティに近づけることができるかということを現実的に考えたい。(申し訳ないが、和食目線でしか書けないが。)

 

 

ダシを引こう

 

料理屋(和食)では朝一番に必ずダシを引く。前日から昆布を水に浸しておくところもあるだろう。しっかりと香りのたった生きたダシを使って作られた味噌汁は最高で、素人でもハッキリと違いがわかる。ダシは味噌汁や煮物はもちろん、ちょっとしたタレやソースに使うこともあり、和食において全てのベースとなるものなので、どのお店もダシにはかなりこだわりがある。

 

一方、家庭では普段はどうしても手軽な顆粒の「だしの素」に頼りがちだ。これを改善しよう。少しだけ手間をかけてダシを引いてあげれば、料理のクオリティは上がる。方法としては、予めティーパックなどにかつお節や昆布、煮干などを少量に小分けしておいて、必要なときに鍋の水に入れて沸かしてダシを引くのがよい。

まずこれでワンステップアップできるだろう。

◆美味しいダシの取り方、詳しい手順。
だしの作り方-手前板前

 

 

多めに作ろう

 

料理屋では同じ料理を大量に仕込む。例えば、筑前煮20人前とか。煮物のようにダシと調味料を合わせて作る料理は、その配分で味が決まる。そして、大量に作っていると味の微調整がしやすい。

例えば、1Lの煮汁に砂糖または塩を少しずつ足していって最高に美味しいポイントを見つけるのと、100mLの煮汁に対して同じ作業をするのでは、後者のほうが美味しいポイントの範囲が狭いので難しい。味がブレやすいのだ。

 

一人の作り手が少量ずつ何品も作る家庭料理はこの点において難しい。ご飯を炊くにしても少量より、一度に多く炊いたほうがおいしく仕上がる。家庭では、料理屋で作るときより不利な条件で作業を強いられているのだ。

ぼくは家で料理するときも無理のない範囲内で多めに作ることを心がけている。少し余っても次の日の小鉢にしたり、アレンジして消化していけばいい。また、タレやソース、ドレッシングなどの長期間保存の効くものは、積極的に大量に作る。作りおきしておけば毎回作る手間も省ける。

 

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道具をそろえよう

 

料理屋には職人用の道具や業務用の調理器具が揃っている。味の差は腕の差もあるが、道具の差に依存するところも大きい。用途によって使い分ける包丁、十分な火力の出るガスコンロ、業務用の大型ガス炊飯器、言いだすとキリがない。

例えば、揚げ物をつくるとしよう。料理屋では業務用の大きな温度調節機能の付いたフライヤーがあって、大量の油を使って安定した温度で揚げることができる。これなら、天ぷらはカラッとあがる。

 揚げ物は家庭では難しい。天ぷらがカラッとしない原因は、揚げている最中に油の温度が下がることにある。少ない油で揚げているのだから仕方ない。残念ながらこの差は埋めれないのだが、対策としてできることは、少量ずつネタを揚げていくぐらいだろう。

 

正直なところ、家庭に業務用の道具を導入することは難しい。が、料理の腕をあげるために1つだけ道具を準備するのであれば、やはり包丁がいいかなと思う。良い包丁があれば作業効率は変わるし、素材の切りつけ方一つで料理の味も変わる。なにより毎日使うものだから、いい包丁があると気分良く料理ができる。

魚用の出刃包丁や野菜用の薄刃包丁までは用意する必要はないが、台所にある文化包丁をワンランクアップさせて牛刀にしてみてはどうだろう。(ステンレス牛刀180mm-堺一文字光秀)また、無水調理が可能なVERMICULARホーロー鍋なんかも料理の幅が広がりすすんで料理がしたくなる。

 

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素材を選ぼう

 

料理屋では品質の高い食材が使われているからおいしい。いい素材は仕入れ値も高いが、その分は価格に反映させることで帳尻が合う。

家計のある家庭料理の作り手は、これはわかっていてもなかなかできない。普段台所に立たない男が豚の角煮を作りたいからといって、大きな三枚肉の塊を値段も気にせず買ってくると怒られるのは、ここが理解できてないからだ。料理をするものなら誰しも毎日いい食材を使いたい。

 

高い食材うんぬんは各家庭の財布事情次第だが、同じ値段で売られているモノの中から、いい素材を選ぶことはできる。といっても、プロの目利きを身に付けろということではなく、普通の人がぱっと見てわかる違いがいくらでもある。それを知っているだけでいいモノを選べて優越感に浸れる。

例えば、刺し身用のマグロの切り身を選ぶとしよう。普通は部位によって値段が違うが、スーパーによってはあまり区別されていないところもあったり、同じ部位でも品質の落ちるものも混じっている。じっくり見て、いいモノを選ぼう。

  • 色は透き通るような赤色がベスト
  • 赤い血線やシミがあるものは絶対買わない
  • 尻尾の方はスジがきついので買わない(煮物/揚げ物にするならOK)
  • 脂がのっているが好みなら腹側の切り身を買う
  • 脂っこいのが苦手なら背中側を買う

 

食材によって選別のノウハウはある。よく使う食材は、ネットで調べたりしておこう。そして、たまには高い素材を買って楽しもう。

◆正しいマグロの選び方

まぐろ刺身 良いマグロとマグロ悪い

 

 

ちょっとした手間をかけよう

 

料理人の仕事は全てこれだ。手間のかけ具合で料理人の腕がきまる。手間をかけるとは、「丁寧に料理をする」ということである。雑な料理人は絶対に上達しない。雑というのは不器用という意味ではなく、手間を惜しむということだ。料理に手間をかけることによって付加価値が生まれ、商品として値段がつく。

家庭の料理も手間をかければかけるほど美味しくなる。ただ、一日中料理をしていられるわけではないのだから料理屋レベルまではできない。でも、「ちょっとした手間」は心がけよう。上で述べたダシを引くのも手間の一つだ。ちょっとした手間で料理は全然変わる。

 

いくらでも手間はある。手間をかける人は料理が上手な人だ。

 

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「旨いは甘い」を知ろう

 

和食の料理屋では恐ろしいほど大量の砂糖を使う。仕込みに使う上白糖の量を知れば、世界中の人が声を揃えて叫ぶ「和食はヘルシー!」などとは、口が裂けても言えない。寿司から煮物まで和食は砂糖まみれ。大量の砂糖が体に悪いのはわかっていても料理人は砂糖を使う。なぜだろうか。それは旨いからだ。うまければ客がくる。

かの有名な美食家・北大路魯山人も「旨いは甘い」といったくらいだ。生物は進化の過程で身体のエネルギー源となる糖分に対して、「旨い」と反応する体を作ってきた。(脂肪分も同じ)

味付けに迷ったとき、甘い方に寄せると料理はうまくなる。中級レベルにさしかかった料理人は誰しもこれに気づき始める。「甘くすればうまくなる」と。そうして砂糖と塩の加減を身につけ、絶妙に甘さをコントロールできる上級板前に成長していく。(*塩は甘さを際立たせる)

 

ここまでで反論が聞こえてきそうだ。
必ずしも「味が濃い=旨い」ではない、と。確かに、畑でとれたての一級品の野菜や高級な肉などは、そのままもしく塩を振ってチョイ焼きして食べるのが一番美味しい。下手なドレッシングやソースは邪魔だ。しかしそれはいい素材のみ。いい素材は、それ自身の中に甘みを多く含んでいるから、上から甘みを加える必要がない。

 

家庭の料理でも同じだ。ただ、家族の健康を気遣うべき家庭料理でこれを実行してよいかどうか、ぼくはいつも悩む。甘くすれば「おいしい」と言ってもらえる可能性は高くなる。が、長い目でみれば食い手の健康を害している。答えはいつも出ない。

ただ、「甘みと旨味の関係」を知っておくことは大事だ。それに、健康と美味さを両立するために、できることもある。まず上白糖(白い砂糖)はやめよう、精製された砂糖すべて同じなのだが、可能な限り自然なカタチの甘みに置き換えていこう。そうすれば、健康的で美味しい料理も可能だ。