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【書評】「世界で働く人になる!」はグローバル人材になるためのスキルを学べるおすすめ本

 

この本を書いたのは、国連機関で働く田島麻衣子さん。いかにもエリートな肩書だけれど、この本を読めば、その高みに辿り着くにはそれ相応の努力と苦労があったことがうかがえる。グローバル人材になるためのヒントと英語習得のエッセンスが詰まっている。

過去に一度読んだことはあったのだけれど、もう一度読み返したので書評を書いてみる。

 

 

 

総評

まず先に、紹介をかねて総評を。

よくありがちな帰国子女による「上から」な海外本ではない。あくまで「普通の日本人」が、世界で働く人になるためのノウハウが書かれた本である。グローバルな人材としてのコミュニケーションスキルの習得法と、日本にいながらにして英語力を獲得する勉強法が惜しみなく紹介されている。非帰国子女の著者が自身の苦労の体験をもとに書いた実践的な良書。

 

本書の中では一貫して、日本人らしさを生かしつつどう世界で活躍していくかという視点で、「世界における日本人」のあり方が書かれている。そのため、読み手も、今の自分の延長線上で読み進めることができ、著者の語る内容が無理なく頭に入ってくる。

 

海外で働く人になるための素養が学べる1冊といえる。

また本書には、世界を舞台に働く人達の姿やその共通点、またはその裏にある苦労話なども描かれていて、特に「世界」という選択肢を考えていない人であっても、単なる読み物として楽しめる内容になっている。


本書の構成

本書は以下の章構成となっている。

  1. 「日本人の強み」を生かして働く
  2. 世界で活躍する人が必ず持っている17の共通点
  3. 言葉を超えた「コミュニケーション力」を鍛える
  4. ゼロから最短距離で英語力を身につける方法
  5. 「英語で話す力」を伸ばすヒント

 

個人的には、1章が この本のハイライトだった。僕自身が海外で悩んだこと、実感したことがそのまま書かれていたからである。

ソレは別として、章立てを見てもわかるように、なかなか見どころの多い構成となっているので、かなり読みごたえがある。本書のエッセンスの詳細は以下に書く。

 

 

「世界で働く人になる!」のエッセンス

普通の日本人の目線

本書のなかでは、「世界で働く人」になるためのノウハウと英語の勉強法について書かれている。これを、「非帰国子女」の著者が語る、というところがポイント

例えば、物心がついたころから国際感覚に馴染んだ、いわゆる帰国子女の海外話だと、少なからず「感覚のズレ」を感じてしまうのである。「あぁすごいけど、それはムリだわ」となることが多々ある。

その点この本は、読者と同じ一般的な日本人の目線で書かれているので読み手は安心感を感じる。「(努力すれば)自分もこうなれるかも」と可能性を感じさせてくれる。特に若い人であれば、夢が大きく広がる可能性もあるだろう。

 

日本人らしさを生かす

日本人が日本人らしさを生かして、というのがこの本の主題である。

本書の中にはこうある。

”日本人にとってはごく普通で一般的なことが、世界の中では実に非常に強みになることであったりします。”

これを認識することは本当に大事なこと。海外に出た多くの日本人は、どうしても異文化に対峙したとき萎縮してしまい、劣等感すら抱いてしまう。特にはじめのころは。

しかし、この本で日本人であることは「強み」だと勇気づけてくれる。

  • 時間に正確
  • 高い協調性
  • 礼儀正しく、秩序を守ろうとする
  • 細かいところまで徹底して丁寧
  • 先読み能力に優れている

 

これらの素養を有効活用して、いかにして自分を世界で通じる人材に適応させていくか、というポイントを具体的かつ現実的に語っている。

確かに、はじめは気後れするものの、海外でしばらく暮らしていると「日本人ってすごいな」と再認識できるようになってくるのである。

 

 

 

日本人だからこそ世界で気をつけるべきこと

メリットと同時に、日本人であることのデメリットについてもきちんと言及されている。

”しかしながら、日本人が持つ考え方や特徴のうち、外国人と仕事をする場面では、むしろ仕事上の障害と捉えかねない部分もあります。”

以下の点に気を付けないと相手に大きな誤解を与えてしまう結果につながるとある。

  • 上下関係にとらわれ過ぎない
  • 下手に自分を低めない
  • 日本人だけで常に固まらない
  • 問題は一人で抱え込まない
  • ステレオタイプをあてはめない
  • 人と違うことを恐れない
  • 容易にイエスと言わない、わからないままにしない

 

これらは実際、日本人の短所としてよく挙げられる点である。しかし実際、頭でわかっていもそうしてしまうのだ。そういう習性がしみついているのである。
だからこそ、弱点は弱点として認識して、少し気をつけながら意識していく必要があるよ、と優しく教えてくれている。

 

世界で活躍する人の共通点

2章では「世界で活躍する人の共通点」が紹介されている。

著者自身がこれまで一緒に仕事をしてきた世界各国の同僚から見いだした共通点がかかれている。その共通点というは、仕草であったり、話し方、対話の姿勢、または瞑想や家族との接し方など、日常の中の「ちょっとしたこと」であるのだけれど、それらが大きな違いを生み、「世界で活躍する人」たらしめる要素となる。

誰でもすぐに取り入れられるライフハック的な内容になっている。

 

 

 

最短距離で英語をマスターする勉強法

本書の後半は、濃厚な英語勉強法について。日本人生まれ、日本育ちの人のための現実的な英語勉強法が解説されている。

 

「最短距離」といっても、1ヶ月や2ヶ月で英語ができるようになるとは一切書いていない。まずここで、怪しい教材のような内容でないことわかり安心する。

著者の言葉では、以下のように説明されている。

"英語を身につけるのは、難しいことでも、特別な才能が必要なことでもありません。正しい方法で、コツを押さえて努力すれば、特別な環境に生まれ育っていなくても、必ず上手に話したり書いたりすることができるようになります。ただ、一定量を自分でこなさないと力がつかないので、忍耐力が必要になります。"

著者が教える英語勉強法の要点の一部を以下に抜粋しておく。

  • 文法の勉強に一年以上かけない
  • まず「聞く力」から伸ばす
  • 日常英会話は中学レベルの文法で十分対応可
  • ビジネス英会話は確実に使う語彙や言い回しを暗記してしまう
  • 英語力向上に最も必要な力は、忍耐力

 

最も大事な要素は「忍耐力」。途中であきらめずに継続することが大事である。と言っている。

特に、著者はまず「聞く力」に注力すべきだと主張していて、「聞く力」の習得方法についてはかなりのページ数が割かれている。もちろん「聞く力」だけではなく、「読む力」、「話す力」、「書く力」についても書かれている。これら4つの英語の基礎要素全てに対して、1つ1つ具体的な教材や勉強法からモチベーションの保ち方まで、こと細かに書かれている。

 

これを読むだけで、いかに著者が英語習得に力を注いできたかよくわかる。なかなかここまでは同じようにできないというのが正直な印象だけれど、一流の人はそれに相応する勉強を積み重ねてきたことが伝わってくる。

こういう人がおすすめする英語の勉強法は信頼性が高いだろう。このパートだけでも一読の価値がある。

 

 

まとめ

総評は冒頭に書いたが、簡単にもう一度まとめておく。

本書は、「世界で働く人になる」ための以下のようなヒントを与えてくれる1冊である。そのヒントは1つ1つ丁寧で具体的。

  • 海外での日本人らしさの生かし方
  • 異文化におけるコミュニケーションスキルの磨き方
  • 世界の舞台で活躍する人々の姿とその共通点
  • 信頼度の高い英語の勉強法

 

「海外」という選択肢を考えている人、または一流の人の英語を習得するまでの苦労とその具体策に興味のある人は、一度手にとって読んでみてもいいかもしれない。

 

 

また、本書を含むおすすめの海外本を過去記事で紹介している。「海外」を選択肢に考えている人に役にたつかもしれないので、興味のある人は参考にどうぞ。