日本人は英語が話せない。
中学、高校で最低6年は英語というものを習っているのに、アジアでも最低レベルだ。
日本人は、日本人にあった英語の勉強をするべきである。
弱点をしっかり認識した上で長所を伸ばしていけば、日本人の英語も伸びていく。
この記事では、まず日本人の英語を分析して問題点を洗い出し、それぞれの問題点をどのように克服するかを具体的に説明する。そして対策として必要な教材も明確に指定する。
海外で実感する「使えない」英語
まず少し自分の経験を書いてみる。
僕は29歳にして海外移住した。そして例にもれず、日本人英語の壁にぶつかった。当時のぼくの英語力はTOEIC650程度。良くもないが悪い方ではないだろう。
現地の語学学校では中の上クラスで、語彙力・文法テストはいつもTOP3内だった。TOP3全員日本人ということもザラだった。
しかし、いざ授業がはじまり会話、ディスカッションとなると僕を含めた日本人達が息を潜める一方で、「主張好きな」欧米人種たちが活躍しだす。
おそろしくクオリティの低い語彙と文法で中身のない意見を自信満々に発するブラジル人や、母国語の訛りを一切直そうとしない高飛車なフランス人達にいつもロープ際に追い込まれていた。
普通の日本人ならこうなる、という典型的な例だ。これは英語力の問題だけではないのだけれど、70%以上は英語力の問題だ。
日本人は英語を話すトレーニングをしてきていないので 実践で「使えない」。練習していないので、自分の英語に自信がない。これが原因だ。
典型的な日本人の英語力
日本の英語教育によって生み出された日本人の英語力は、個人によるばらつきはあるものの、おおよそは下の図のような感じだろう。赤く引いた線は、海外の日常生活で通じる英語レベルとする。
今更言うまでもないが、日本人の英語力はスピーキングとリスニングの力が圧倒的に不足している。
日本では「会話」という部分を授業でやらないことが原因にある。ただ、リスニングはTOEICなどの試験で勉強しているということもあり、スピーキングよりはましな人が多い。
文法・語彙は日常会話ならそこそこ十分通じる基礎はある(全然十分ではない)。しかしなんにせよ、実践していない。知識はあるのに使ったことがないから使えない。
人によっては文法の知識が多すぎて、細部を意識しすぎるあまり詰まったり喋れなくなるケースも少なくない。
要は、実践に慣れていない。
これを克服して「使える」英語をマスターするには、大量のアウトプット(英語を話す)トレーニングを積まなくてはいけない。
以降で、さらに具体的に分析しよう。
目指すべき「使える」英語の一例
まず一つの例として、目指すべき「使える」英語のサンプルを提示してみる。
具体的な目標を設定することは目標達成の近道になる。1分間だけ下の動画を再生してもらいたい。
錦織圭、有名なトップテニスプレーヤー。英語も流暢に操る。おそらく、誰もがこれくらい話せればいいなと思っただろう。
彼の英語の良さを分析してみよう。
彼の英語のいいところは、「英語らしく聞こえる」ことにある。ただ、よく聞いてもらえばわかるように、使っている単語はどれも中学生レベル。文法も単純なSVOとSVCの繰り返し、発音も典型的な日本人英語で、reallyなども「リリー(lily:ゆり)」と発音している。
でもこれでいいのだ。
彼は英語を話している。英語で会話をしている。
彼の英語が「英語らしい英語」たる理由は、
- アクセント(文中の強弱)
- チャンク(言葉の塊)
- リンキング(隣り合う単語の音の繋がり)
これらの要素がしっかり抑えられているからである。(詳細は後述する)
彼は13歳で米国にテニス留学している。海外生活の中で、大量のインプットとアウトプットを繰り返し、「英語らしさ」を自然と身に付けていったのだろう。
逆にいえば、海外で通じない日本人の英語はこれらの要素が欠落しているのだ。ぼくが海外で見てきた、英語で困る日本人の多くは、これらを意識していないから話せないし、話かけられても聞き取れていなかった。
もちろん自分も初期のころは、そうだった。
使えない英語の6つの問題点
では、使えない日本人英語の問題点と、それを改善する勉強法を提示してみよう。
問題点があるときは、一度分解して一つ一つの要素を把握しなければ改善の効率が悪くなる。何が悪いかわからないけど「やらなくては!」という状態ではすぐに挫折する。
使えない英語の問題点を6点以下にあげる。
1.日常会話に必要な単語や表現を知らない
これは、学校教育で習った英単語や表現のレベルが、海外の日常会話で使われているそれらのレベルとマッチしていないということだ。
日本人は、受験勉強で結構難しい(お堅い)単語や言い回しを習っているので、それらを知識として持っているのだけれど、実際それらは日常会話ではあまり使われない単語や表現であることが多い。
ネイティブの日常会話ではphrasal verbs(フレイザル・バーブ)という「簡単な動詞と前置詞を組み合わせた便利な表現」が頻繁に使われる。日本語も同じだが、人は日常では「くだけた言葉」で話している。
put on / find out / call off / put off / run away / take up / work out / run off / run out など
例えば、"cancel it"と言ってくれれば容易に理解できるが"call it off"と言われた場合、まずこの表現を知らなければアウトだし、知っていても聞き取れなければ意味がわからない。
そしてたいてい、これらは個々の発音が短く他の音とつながって発音される(リンキング、後述)ためとても聞き取りづらい。洋画やTVのホームドラマを見ていて、何度聞いても聞き取れなかったところを後でチェックすれば、たいていphrasal verbsが使われている箇所だ。
簡単な単語なのに意味がわからない、早すぎて聞き取れない。
そういう表現はあまり習わないし、聞き慣れていないから理解できなくて当然である。
2.チャンクを意識していない
チャンクとは「意味のある単語の塊」のことだ。
例えば、"when I was a kid"や ”for a while"などがチャンクである。基本これらは1息で言ってしまわないといけない。「ウェン/アイ/ワズ/ア/キッド」と1音1音丁寧に発音して話すと、意味は伝わるが聞く側はものすごく苦痛になる。
要するに、英語らしく聞こえないのだ。
チャンク単位で話すことを意識することによって、ナチュラルな英語の話し方に近づくことができる。
3.リンキングを意識していない。
上のphrasal verbsやチャンクと関連するのだが、基本これらの途中であからさまに長く詰まったり沈黙したりすると、違和感たっぷりの英語になる。
つまり話す際に切ってはいけない部分があるのだ。
例えば、"I am going to go to Tokyo in December."なら、「アイ/アム/ゴーイング/トゥ/ゴー/トゥ...」はひどい英語だ。「アィム・ゴーイントゥゴー...」もしくは、「アィガナゴートゥ...」であるべきである。
まとめて発音するところは音を繋げないと自然に聞こえない。これがリンキング。
4.リズムがない(アクセントが弱い)
抑揚の少ない日本語に慣れている日本人は、英語で話すときに強く発音すべきところと弱くていい部分を理解していない。
上の例でいえば、"go", "Tokyo", "December"が強くアクセントを置く部分で、それ以外は弱く発音しても問題ない。
文法的にDecemberの前の前置詞が"in"か"on"かわからなくても、ここはあまり重要じゃないので、弱く発音して誤魔化してしまえば会話は続くし、誰もツッコんでこない。ここで考え込んでしまうのが日本人の悪いクセだ。
その場はサラッと言い切ってしまえばいい。家に帰って辞書で調べて次に繋げれば良いんだから。
5.圧倒的なアウトプット経験不足
これが一番の問題である。実践力が皆無。
本来、英語教育で最も力を入れる箇所が抜け落ちている。日本人は明らかに、英語を話し慣れていない。これでは、自分の英語に自信が持てないのは当然で、英語を話す自分が気恥ずかしくさえも感じる人もいるはずだ。
練習不足なら練習するしかない。英会話を練習しないと英会話は上達しない。
6.外人コンプレックス
日本人は外人に弱い。
ついつい主張の明確な欧米人にペースを握られ、受け身になりがちだ。変に苦手意識があり、英語からの逃げに繋がる。
ここで挙げた6点は、問題点の要素としては別々に列挙したが、とくに1~4の要素は関連しあっているので、英語を改善していくプロセスの中で連動して底上げされていく。
弱点をしっかり把握した上で勉強するのと、そうでない場合とでは成長の時間と質に差がでるので、これらはしっかり頭にいれておこう。
「使える」英語を習得ための5つの英語勉強法
では、これらをどう改善すればよいかということになる。
5つの勉強方法を提案する。
単体または複合的に活用して英語を学習するのがいいだろう。ただし、5番目だけは必須である。
勉強法1.英会話アプリ「スタディサプリEnglish」で学ぶ
本当に「使える」英語を身につけるために、おすすめの英会話アプリがある。
僕自身も英語力キープするために使っている「スタディサプリENGLISH 」。このアプリがあれば、いつでもどこでも「英語を話す」環境をつくれる。
上で挙げた問題点1~5をまとめて改善していける。
しかも講師と英会話するアプリではないので、英語に自信がない、英会話レッスンは恥ずかしい緊張する、という初心者の人でも気軽に始められるのが、このアプリの大きなメリット。
このアプリを使えば、楽しくかつ効率的にスピーキング&リスニング力を鍛えていける。初心者からはじめても、とりあえず3~6ヶ月継続すれば、英語を話すことに慣れて簡単な英会話ならできるようになる。
このアプリの使い方のコツは、「アプリ相手に英語を喋って、とことん失敗しまくること」。これがものすごく大事。英会話レッスンを始める前準備として使える。
詳しい内容と勉強法は、以下の記事にまとめてあるので読んでもらいたい。
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おすすめ【レビュー】英会話できるようになる!「スタディサプリEnglish」は初心者にこそおすすめ
勉強法2.好きな有名人の英語を聞き真似をする
先に挙げた錦織圭のように、すでに良い英語を話している人のマネをするという手段は非常に有効だ。
目標が明確、モチベーション、楽しく学べるという点で優れている。
対象は誰でも個々の好きな人を選べばいいと思うが、「英語のうまい日本人」がいい教材になる。もちろん海外の有名人でもよい。ただし、レベルの低い人を倣うのはやめたほうがいいだろう。到達するレベルも低い。
勉強法3.映画やドラマでシャドーイング・リスニングする
2と同様に楽しいところから入るというアプローチ。自分の好きな海外ドラマや洋画なら楽しく英語を学べる、というのが最大のメリットだ。
好きなドラマ・映画のお気に入りの場面を何度も何度も繰り返しリスニング、シャドーイングすることで、上で挙げた問題点1のphrasal verbsの習得や、2~4の「英語らしさ」を自然と身につけることができる。
僕は日本にいるときシャドーイングをかなりやっていたので、最低限の英語らしさは身についていたらしく、海外生活でこれがかなりアドバンテージになった。
ただ、いくら好きだとしても、法廷モノやハードアクション系はやめたほうがいい。言葉が難解だし、状況があまりに特殊すぎる。ホームドラマ、ヒューマン系のような日常が舞台のストーリーが最適。
海外ドラマや洋画で英語を学ぶなら『Amzonプライムビデオ』を利用しよう。上に挙げたビデオは全て無料で何度でも見れる。
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勉強法4.良質なテキストで良質なインプットをする
きちんと英語を学ぶなら投資は必要である。そして、有料の教材はそれ相応の価値がある。以下に本当に投資する価値のあるもののみを紹介する。
-TEDICT
リスニング用のTED Audio Bookではなく、TEDの内容をディクテーション(聞いた英語を書き取る)用のアプリ。
英語は「聞き流すだけ」では学習効果はあまりない。英語に真剣に向き合いたい人は、きちんと時間をとってTEDICTでディクテーションすれば英語力はかなりアップする。(Androidアプリ版はこちら)
「英語学習最高の文法書」と定評のある全世界1500万部発行の大ベストセラー。文法はこの1冊で問題ない。良質なインプットが得られる。
この本には、使える英語のエッセンスが網羅されている。世界中の英語学習者が愛用する英語学習のバイブル的な参考書。英語を本気で習得したい人が手に取るべき本である。詳しくはこちらの記事を参考に。
English Grammar in Use完全マニュアル【書籍・アプリ版】
【英語習得のバイブル本】世界中の英語を勉強する人が使う英語学習のおすすめ英文法参考書
勉強法5.スピーキングを練習する(ネイティブと話す場を作る)
問題はここだ。どうにかして英語を話す機会を作らなくてはいけない。インプットしたものをアウトプット(英語を話す)しなくては、問題点の5と6は、いつまでたっても克服出来ない。
超有名なスピーキング練習用の教材。どうしてもインプット偏重になりがちな日本人の英語学習だが、瞬間英作文を使えば英語を口にする練習ができる。使える英語習得に向け、これはかなり重要な練習になる。(iOSアプリ版はこちら)
-オンライン英会話
いまや家でもネイティブと話せる時代なので、オンライン英会話を活かそう。
オンライン英会話で一番のおすすめが「NativeCamp」。
なぜなら、月額4,950円で英会話レッスンが受け放題だから。
英語を習得するには大量のアウトプットが必要なので、コストを気にせず、マンツーマンで英会話をこなせる「NativeCamp」は、ものすごいメリットである。今なら7日間の無料体験もあるので、とりあえずオンライン英会話というものをのぞいてみたいという人にもおすすめ。
NativeCampは日本人カウンセラーに無料で相談できるので、英会話初心者にもやさしい。体験レビューもご参考までに。
【体験レビュー】英会話初心者にはNativeCamp(ネイティブキャンプ)がおすすめ!評判、口コミ
「まだ人と話すレベルにない」「もう少し文法をやってから」では、きっといつまでも状況は変わらない。
無料体験を試してみて、自分に合わなければ違う方法を考えればいい。とりあえずやってみよう。始めてみればわかると思うが、未熟な英語でも会話というアウトプットはやはり楽しいものである。
公式ページNativeCamp-1週間レッスン受け放題無料体験
最後に
英語は武器になる。習得しよう。
日本人は英語が苦手だけれど、多くの人が英語が苦手という世の中で、あなたが英語という汎用性の高い武器を手に入れれば、あなたの人材としての価値はグッと高まる。わくわくしないだろうか?最もわかりやすいアドバンテージだ。
英語は世界共通言語であり、これからもそうあり続ける。英語ができれば世界中の人とコミュニケーションが取れ、海外生活、海外就職も現実のものとなる。英語はビジネススキルとしてだけでなく、あなたの人生において計り知れない可能性と明るい未来を与えてくれる。
とにかく1年、真剣に英語に取り組めてはどうだろう。真摯に向き合えば、必ず結果はついてくる。
英会話の勉強法について、さらに詳しく知りたい人は以下の記事を参考に。
【英会話の勉強法】英会話の独学をより効果的にするための、おすすめ本や勉強法について