2016年8月26日更新
日本は少し息苦しい国だ。特に労働環境の面で。中には海外で働きたい、海外移住したいと考えている人もいることだろう。
僕も海外生活に憧れ、30歳を前にして日本を飛び出した。海外に移り住み、現地で働いてきた。今では幸い海外の永住権も持っている。
この記事では、これから海外に出て働きたい、暮らしたいと考えている人に向けて、おすすめ本を紹介してみたい。
海外挑戦する人にとって「英語」以上に大切なこと
本の紹介の前に、少しだけ「英語」について書いておきたい。なぜなら「海外」の話をすると必ず「英語がダメだから…」となるので、「英語=海外生活の最大の障壁」ではないということを少し伝えておきたい。
僕の経験上、「英語がダメだから…」という人は、たいてい海外に興味ない人がいうセリフだ。みんな海外旅行は好きだけど、住むところまでは考えていない。それはそれでいい。しかし、逆に海外に行きたいという強い気持ちがある人は、このセリフは絶対言ってはいけない。
海外に移住し働くなら英語は必須だ。しかし、英語が最大の障壁であってはいけない。英語は後についてくるものだ。
海外に出た僕の英語学習の経験
自分の経験を振り返ってみる。
海外移住を決め日本を飛び出して10年経った今、自分にとって英語とは何だったかなと考えると、それはいつも単なる手段にすぎなかった。海外の旅先で現地の人間から情報を得るため、仕事で相手先に電話するため、家を探すため。つねに目的があって英語を話してきた。
また、永住権に繋がる重要な英語の試験を目前にしたときは、毎日スピーキング用のテーマカードを持ち歩き、いつでもランダムに選んだテーマに対して即興で1分間喋れるよう練習した。家では日本人の嫁と英語で会話し、机の上にはキッチンタイマーを置き、制限時間内に英文エッセイを書くことを日々繰り返していた。
それら全ての英語の勉強は「現場」につながっていたからこそ、自分の実になった。結局、英語の勉強とはそういうことなのだ。
まずは英語を学ぶモチベーションが第一
今、日本で独学で英語を学んでいる人は多いと思う。しかし「英語が上手になりたいから英語を勉強する」というのならば、それは立派な理由だが、それだけではモチベーションとしては足りない。
英語を身につけるためには、もっと大事な要素が必要だ。英語を学ぶ目的が明確でなくてはいけない。
例えば、
- 海外の旅先で現地の人や旅人とコミュニケーションをとりたい。
- グローバルに活躍できるITエンジニアになりたい。
- 発展途上国で日本の技術を伝えたい。
- 日本のマーケットで英語を使ってビジネスをしたい。
こういうドキドキワクワクするようなモチベーションが自分の中に溢れ、英語をリアルに感じれたときにこそ英語は上達するものだ。
以下で紹介する本は、海外挑戦に対する前向きなモチベーションを与えてくれる。海外生活、海外で働くとはどういうことかを面白いストーリーに乗せて伝えてくれる。これらの本によって、海外に対するあなたのモチベーションを少しでも刺激できればいいのだけれど。
海外移住・海外で働きたい人におすすめの本
日本の危機を指摘し脱日本を煽る書籍が多い中、この本はまったく逆のアプローチを提示する。世界がオモシロイから出るのだ、と。
本書の中に「自分の仕事を日本の中だけで考えている人と、世界を舞台に考えられる人とでは、これからの人生の可能性は大きく違ってくる」とあるが、これは実際に海外に出た人が外に出てはじめて気づくことである。それを実例をもとに1冊の本で疑似体験できるのは、なんとも有益だ。正直なところ、今これを読める若者が羨ましい。
読み進めていくうちに、現時点の英語力など関係なく一刻もはやく世界に飛び出したくなる。これ以上ないほどに前向きなモチベーションを与えてくれる。
少なからず海外に興味がある人が手に取ると思うが、これを読んで心が突き動かされなければ、きっともう自分の中から「海外」という選択肢は完全に削除してしまってもいいだろう。
よくありがちな帰国子女による「上から」な海外本ではない。あくまで、普通の日本人が海外で生きるためのコミュニケーションスキルの習得法と、日本にいながらにして英語力を獲得する術が惜しみなく紹介されている。非帰国子女の著者が自身の苦労の体験をもとに書いた実践的な良書。
日本人らしさを活かしつつどう世界で活躍していくかという視点で、「海外における日本人」のあり方が書かれている。読み手も、今の自分の延長線上の姿を思い描きながら読み進めることができるため、著者の語る内容が無理なく体に入ってくる。
まさに海外で働く人になるための素養が学べる1冊といえる。
「無責任」や「逃げ」を都合よく解釈した「自由」ではなく、本当の意味での自由な人生を手に入れるための「持たない生き方」を、世界各国を拠点にハイスペックなノマドライフを実践する著者が説く説得力のある本。(「持たない」といってもミニマリズムうんぬんの話ではない。)
「何を捨て何を残すかで人生は決まる」というタイトルは、端的だが、まさに人の生き方を表現する深い言葉である。持っているものを捨てることによってはじめて、残ったものに集中できるのである。その残ったものこそが「自分らしさ」なのだ。
この本は、日本でのステータスを捨て海外に向かったぼくに自信を与えてくれた。「あの選択は良かったのか」と自問する瞬間は今まで何度もあったが、捨てたからこそ自分らしさを追求できたし、捨てたからこそ新たに得られたモノもあった。その実感をまさに裏付けてくれるものであった。
様々なしがらみや世間体で身動きが取れなくて息苦しくなっている人や、全てをこれからカタチ作っていゆく若者におすすめできる本。秀逸な「はじめに」は必見。
著者の肩書や経歴だけを見ると、庶民には縁のないビジネスエリートのハイレベルな苦労話的な印象を受けてしまうが、中身はいたって平易で読みやすく、著者の20年に及ぶ海外外ビジネス体験記が具体的なエピソードとともに生き生きと語られていて、すぐに本の中に引きこまれていく。
世界各国でグローバルビジネスを展開してきた著者の経験を綴っているが、なにも世界を目指す人だけが読む本ではない。あくまで一般の読者目線で書かれていて、国内のドメスティック企業や、中小規模の組織に属する人が各々の状況に落とし込めるような心の持ち方を学ぶことができる。
自己満足なノウハウを主張するお堅いビジネス書とは一線を画す、グローバルビジネスを舞台としたヒューマンドラマといっても過言ではない。言語や国に依存しない「人としての心」が語られた著者の人柄が紙面からにじみ出る良書。
説教臭さ匂わせる堅いタイトルからは想像もできない推理小説家の著者が描く一種異質なミステリー仕立てのビジネス書。そして、奇をてらった中途半端な中身かなという警戒心を見事に打ち砕く秀逸な仕上がり。
本書には、ビジネスコンサルタントとしての著者のバックグラウンドも存分に生かされている。ミステリー小説のアクセントの利いたストーリーの上に、日本人として世界と対峙するための信条や実践的で的確なビジネスアドバイスが盛り込まれている。
小説の展開を追うドキドキ感、良質なビジネスノウハウを手に入れた満足感、尊敬する仕事のデキる上司と飲みに行ったときに感じるある種の爽快感と優越感のようなものを、同時に読み手の心に想起させるまさに「不思議な」ビジネス本。おすすめ。
孫正義の伝記である。彼の英語を聞いてもらえばわかるが、正直それほどうまいわけではない。でも逆にそれが「英語より大事なものがある」ことを明確に物語っている。大事なことは志と行動力であると。
番地もないバラックから日本を代表する超大企業の創始者に上り詰めた孫正義の原点は、高校を中退してまで向かった海外留学にある。そこで胸いっぱいに吸い込んだ「自由な」空気を活力に日本のデジタル産業を黎明期から率先していく彼の活躍が、テンポよくかつ小気味よく描かれている。
この本の読むと、「あぁ、だから孫正義なんだ」と再確認することになる。正直なところ、この本を読んで誰も同じことができるとは決して思わないが、高い志をもち周りを巻き込んで大きく動かしながら突き進んでいく彼のバイタリティ溢れる生き方には、一種の憧れと痛快さを覚える。
この本から与えられるパワーとモチベーションははかりしれず、自分に関わる全てのことは、結局は自分の心の持ち方しだいなのだと再認識させられる。
英語学習最強の文法書と呼ばれる本である。自分にとっては英語の勉強(英文法)以上に大きなものを与えてくれた本だったので取り上げた。
ひとことで言うと、「学校で習った英語」を「現場で使える英語」に結びつけてくれる本である。もちろん、文法書なので各文法項目が説明されているのだが、その項目一つ一つに「ネイティブはこういうニュアンスでこの表現を使う」とか「日常会話でこの文法はこういう風に使われる」という解説が細かく書かれている。例えば、"will"と"be going to"の違いや、現在完了形ニュアンスなどである。
現実感の伴わない英語学習に取り組んでいる多くの日本人が、誰もが思わず「そういうことが知りたかった!」と叫んでしまうエッセンスがこの1冊に網羅的に集約されている。ネイティブ目線の「気の利いた」解説に目からうろこが落ち続けると同時に、「今までどうして学校でこれを教えてくれなかったんだ」と憤りすら覚えることだろう。本当に使える英語とはここに書かれている内容のことをいう。
世界的ベストセラーの評判と、「使える(使われている)英語」というタイトルに恥じぬ間違いのない最強の英語学習本。
English Grammar in Useの内容はこちらの記事が詳しい。