英語でメールを作るときゼロから英作文すると色々と面倒なので、ストックしてある定形表現をベースにして、状況と相手に応じて単語や主語を変えて使いまわしている。
日本語でも同じだけれど、ビジネス文書は決まった表現が多いので、とりあえず大量の型を覚えてしまうのが手っ取り早い。そして思いのほか、機械的に例文を覚えてアウトプットする作業を繰り返すことは、英語力の向上につながっていく。
僕は、『英文ビジネスEメール実例・表現1200』という本を使っている。この本に掲載されている表現を英文チェックツールの中にストックしておいて、できるだけ効率的にまともな英文を作れるようトライしている。
この記事では、この本の紹介と効率的な英語メールの作り方について書いてみる。
「英文ビジネスEメール実例・表現1200」書評
この本は、Z会通信講座1,600件の添削を徹底分析し作られている。とても実践的で即効性があり、かつ初心者に優しく丁寧に作られた本という印象。仕事上で英語メールを書く機会の多い人は、テンプレのデータベースとして1冊手元に置いておけば即戦力となるだろう。
以下に本書の特徴をあげておく。
大量の実践的な実例・表現が収録
これがこの本のエッセンス。本のタイトル通り1200という豊富なビジネス英文実例が収録されていて、多様なシチュエーション別に対応できるような汎用性の高い表現が厳選されている。1つ1つの例文のクオリティが高く、これらを知っていれば英作文においてかなりの差が出る。
また、本文中の実例文は全て巻末に索引として掲載されていて、必要な表現がいつでも辞書的に引き出せるようになっている。オンラインでも全ての実例文が公開されているので、コピペで簡単に活用できる。僕はこれを全部、英文チェッカーに保存している(詳細後述)。
また例文は全て下図のように見開き1ページでトピック別に分類されていて、使える英文が列挙されている。各場面ごとにフローチャートも併記されているので、ユーザーの状況にマッチする最適な英文をすぐに引き出すことができる。
(画像引用元:Amazon)
さらに内容を詳しく知りたい方は、Amazonの「なか見検索」へ。目次だけでなく、かなりのページ数のサンプルが見れる。
英語メールの書き方の基本が 丁寧に説明されている
頭語の書き方
相手との間柄によって頭語(Dearや敬称Mr/Mrsなど)をどういうカタチに変える必要があるか、また相手の性別や名前の分からない場合や複数の相手に送る場合はどういう表現があるのか、などについて詳しく説明されているので、初心者にも優しい設計になっている。
敬称等は適当に書くと意図せず失礼になってしまうし、神経質になってイチイチ調べていると時間を浪費してしまうので、一覧となっていると助かる。
アメリカ英語とイギリス英語の記法の違い
ビジネス文書におけるアメリカ式とイギリス式の表記のルールの違いにも言及されている。例えば、アメリカ式なら、頭語の後に":"をつけて以下のように書く。
Dear Mr. Green:
To whom it may concern:
イギリス式なら、頭語の後は","を付ける。
Dear Mr. Green,
To whome it may concern,
正直、細かい点だしあまり厳格に成りすぎる必要もないと思うけれど、知っているのと知らないでは大違い。
敬語の使い方
本書の中には、以下のように敬語の丁寧度にも言及がある。いくらフランクな欧米社会といえど、丁寧な表現は必要なときにできた方がよい。
例えば以下の例では、同じ表現でも上から順に丁寧度が高い、と本書内で説明されている。
例)「昨日の注文を取り消して下さい。」
Would it be possible to cancel the order I made yesterday?
Would you mind canceling the order I made yesterday?
May I cancel cancel the order I made yesterday?
Would it be okay to cancel cancel the order I made yesterday?
Could I cancel the order I made yesterday?
Can I cancel the order I made yesterday?
Please cancel the order I made yesterday?
英語にもきちんと敬語はあるし、使う単語によってそのニュアンスも変わってくることにも配慮が必要。ココらへんもきちんと説明があると安心して使える。
結語の書き方
結語(文章を締めくくる言葉)の使い分けもきちんと解説されている。上から順にフォーマル度が高い。
◆改まった間柄の場合(英国・欧州式)
Yours respectfully,
Yours faithfully,
Yours ver truly,
Yours sicerely,
Sincerely,
Best wishes,
これらも実際、書く段になるとどれを使えばいいのか迷う。相手によってどのレベルのフォーマル表現を使うかを意識することはとても大事。
ここまで書いた通り、この本の最大のメリットは、英文作成の基本が網羅的に記載されていて、それらを大量の実例と共に体系的に学ぶことができるという点にある。
例文集を使った効率的な英文作成のTIPS
では次に例文集を使った英文の作成方法について書く。
当然ながら、例文をそっくりそのまま使えるということはない。単語や表現を加工して英作文する。ここで自分の実力が伴わず、文法的にクオリティが落ちてしまう不安がある。
英文チェッカーを併用して文法的な不安を軽減
この文法的な不安をカバーするために英文チェックツールを使う。無料で高機能な『Grammarly』が信頼性が高いので、僕はこれを利用している。Grammarlyについては、過去に記事にしているので導入方法、使い方等を知りたい人はこちらを参照。
Grammarlyは、オンラインでもローカルでも使用できる。ファイル保存も可能なので、普段からここに英文のテンプレをストックしておく。そして、英作文するときは常にGrammarly内で作業するようにして、蓄積してある英文データベースを活用しながら英作文作業をすすめる。Grammarlyがリアルタイムに文法チェックしてくれるので文法的な品質も保てる。
『英文ビジネスEメール実例・表現1200』の例文をGrammarlyに移植
僕は、上で紹介した『英文ビジネスEメール実例・表現1200』の例文を使いやすいように編集してから、Grammarly内にストックしてある。この本の例文はオンラインで公開されている(巻末にURL表記有)ので、ここから全例文をコピペすることもできる。
以下にストックしてある例文の一部を掲載しておく。
...を添付しましたのでご確認下さい。
I have attached ... for your confirmation.
大変残念ながら、今回は...することができません。
Most unfortunately, on this occasion we are unable to...
よろしくご検討のほどお願い申し上げます。
We appreciate your kind consideration.
...で検討した結果、...という結論に達しました。
As a result of deliberation at ... we have reached the conclusion that ...
... について、至急ご連絡をいただければと思います。
Could you please contact me as soon as possible regarding ...
…についてざっと説明します。
I will briefly explain about …
詳しくは…でお知らせします。
I will notify you of the details in …
... までにご回答いただけますか。
I would be most grateful if you could reply by ...
ご参考までに、…条件は下記の通りです。
For your reference, the conditions … are as follows.
... に関するお問い合わせはすべて ... までお願いいたします。
Please direct all inquiries concerning ... to ...
ご都合が悪いようでしたらお知らせ下さい。
If this doesn't look convenient for you, please let me know.
もちろん例文がなくて自分で調べながら時間をかける部分もあるのだけれど、お決まりの表現部分は、これらを活用すればかなり時短できる。また、使える表現をどんどん貯めていく習慣をつけておくと、さらに次の英作文が楽になっていく。
ひとつの手法として知っておくと役立つかもしれない。
最後に
ここで紹介したのは、英作文の時間短縮を目的としたTIPSなので、即効性はあるが英語の基礎力を鍛えるものではない。
しかし、意外とこれを続けてアウトプットしていると、使い慣れてきてこの文でいいんだという自信も生まれる。そして、コピペの例文もいつのまにか自分のモノとして身につき、何も考えずに自然にスラッと出てくるようになる。
リーディングでも英会話でも同じだけれど、実践の中で大量のアウトプットをこなしていくうちに、どこかの地点で質に転換し、最終的には英語力の向上に繋がっていくのかもしれない。
これも英語の勉強のアプローチの1つだと思う。
英語の文法からしっかり積み上げたいという人はこちらを参考にどうぞ。結局ソレが一番強いんですけどね。