【2017年1月10日更新】
今となってはそれほど温泉フリークでもないのだけれど、昔は野湯を巡るために北海道(特に道東)に一人旅にでかけ、カムイワッカの滝を登ったり、知床でクマに怯えながらも温泉を目指してチャリを走らせていたこともある。
そんな僕は和歌山出身だ。和歌山県といえば、梅干しやみかん、高野山、熊野古道、高校野球で言えば智弁和歌山(年配の人には箕島)といったところが有名だが、実は、和歌山県は温泉も結構有名だ。
つい最近こういう記事も出ていた。
家族旅行に人気の温泉地、和歌山・白浜温泉1位 : 経済 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
実家に帰省してもだいたいやることがなく暇なので、よくドライブがてらタオルを一枚持ち、温泉にでかける。
和歌山の温泉は格別だ。和歌山県民の僕がおすすめの日帰り温泉・露天風呂を紹介しよう。
和歌山と和歌山の温泉の魅力
おすすめの日帰り温泉・露天風呂を紹介する前に、少し和歌山の魅力を伝えたい。
圧倒的な大自然
多くの人が御存知の通り、和歌山は田舎。お世辞にも和歌山で刺激的なシティライフが楽しめるとはいえない。
和歌山の魅力、それはもう圧倒的な自然。和歌山県は昔から「木の国(紀の国)」と呼ばれるように、県土の77%が森林地帯。その自然に押さ出されるようなカタチで、人口の殆どは太平洋を臨む海岸沿いの街に集中している。山と海が見えない場所に行くほうが難しい。
シティライフが期待できない反面、キャンプ、釣り、海水浴、山歩き、アウトドアには事欠かない。毎年夏になれば、大量の大阪人が自然を求めて南下してくる。
世界遺産 熊野古道と高野山
「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されたこともあり、いまでは高野山や熊野古道に世界中から観光客が訪れるようになった。山奥の温泉や道の駅、観光センターで外国人の姿を見かける機会も以前に比べ格段に増えた。
この世界遺産も全て自然の中に抱かれている。そして、この大自然の中にある和歌山の温泉が最高だ。
水平線に沈む夕日を臨むダイナミックな露天風呂、白い湯煙だけが静かに立ち上る山間の人気のない天然温泉など、独特の趣をもった温泉が県内に点在している。
和歌山で観光するならぜひとも温泉に立ち寄って欲しい。
白浜『とれとれの湯』
まずは観光者向け。家族連れには最適な白浜「とれとれの湯」。
白浜は和歌山屈指の観光スポット。キレイな海あり、温泉あり、レジャーもアウトドアも楽しめる場所だ。
そんな白浜にある「とれとれの湯」は、いわゆるスーパー銭湯。日帰りにピッタリの温泉施設である。露天風呂、サウナ、岩盤浴、他なんでも備わる大型施設で、子供からお年寄りまで、どの年代でも楽しめる温泉施設。海外沿いなので、露天風呂からは広大な太平洋を臨むことができる。
国道沿いの立地でアクセスもよく、白浜で海水浴や、グルメ旅行、家族旅行を楽しんだついでに気軽にアクセスできる場所だ。併設の「とれとれ市場」は鮪の解体ショーで有名な海鮮市場で、白浜観光の目玉の一つにもなっている。また「とれとれビレッジ」は、ユニークなドーム型の宿泊施設が有名で人気が高い。
宿泊とれとれビレッジ
那智勝浦『ホテル浦島』
http://www.hotelurashima.co.jp/
「ホテル浦島」は温泉のアミューズメントパークといってもいい。温泉好きは一日中、温泉に浸かっていても飽きないだろう。
まずこのホテルには、専用の送迎フェリーに乗らないと辿り着けない。浦島だけに亀のフェリーに揺られ竜宮城に向かうのだ。この設定からしてワクワクするだろう。
ホテル内には5つの温泉が備えられており、各温泉は独立しているので、館内ではスタンプラリーも用意されていて、温泉めぐりが楽しめる。1つ1つの温泉がユニークでまさに温泉天国だ。
ホテル施設だが日帰り温泉も可能なので、景勝地「那智の滝」を始めとした那智勝浦の観光と組み合わせて利用するのがいいだろう。
宿泊ホテル浦島
高野山の麓、かつらぎ温泉『八風の湯』
http://www.happuno-yu.com/katsuragi/index.html
和歌山が誇る国内屈指のパワースポット「高野山」は、和歌山観光のベストスポットの一つだ。空海が今も瞑想を続けていると言われる歴史あるこの寺は、日本人はもちろん世界各国の観光客を魅了し続けている。高野山は絶対一度は行ったほうがいい。
その高野山観光に温泉を付け加えるなら、高野山の麓の街かつらぎ町にある「八風の湯」が最適だろう。
古民家を改装した温泉施設で、館内には露天風呂、足湯はもちろん、モンゴル式サウナなど、様々なタイプの湯が用意されている。
夜になれば施設の入り口はライトアップされ、温泉宿の雰囲気が漂う。あまり人が多くない場所なので、落ち着いた雰囲気のなかで大人の時間を過ごしたい方におすすめ。宿泊でゆっくり滞在するのがベストだが、日帰り温泉利用ももちろん可能。
白浜『崎の湯』
http://www.town.shirahama.wakayama.jp/kanko/onsen/1454046714439.html
「崎の湯」は万葉の時代から残る歴史ある天然温泉。日本最古の湯ともいわれている。
海を臨む温泉というか、完全に海と一体化しているので、そのまま歩いて海に入っていける。昔は無料だったのだが、改修された同時に有料となった。
決して広いとは言えない場所なので、ゆっくりすることは難しい。特に夏場は、紀伊半島を一周するライダー達が汗を流すためにヒョイと立ち寄る場所でもあり、かなり客足の回転が早い。日帰り温泉というよりは、何かのついでに寄っていくのがいいだろう。
なかなかゆっくりできるとはいい難いが、歴史と情緒を求め訪れる人は多く、人気のある温泉だ。白浜近辺まで車で来た人は是非とも立ち寄って欲しいおすすめの場所。
『龍神温泉』
http://www.ryujin-kanko.jp/contents/spa/motoyu.html
和歌山の温泉を代表する山間の温泉街「龍神温泉」。古くは弘法大師(空海)が開湯したとも伝えられてる古湯で、美肌効果の高い泉質から日本三美人の湯にも数えられる。
龍神は、温泉のための街だ。温泉以外の目的で行ったことがないし、温泉以外に何もない。ちょうど和歌山県の中心に位置し、正に山の奥。神秘的な地名の通り、人を寄せ付けない。和歌山のどの主要都市から向かっても2、3時間はかかるというアクセスの悪さだ。県民でも「龍神か、遠いからなぁ」となる。しかも山道。
しかしやはり、温泉は素晴らしい。苦労して行く価値はある。龍神温泉には幾つもの温泉施設があるので、複数の温泉をはしごしてもいいだろう。
最も有名なのが、「龍神温泉 元湯」。露天風呂から渓流を眺める景色は美しく、夜には星空の静寂と川のせせらぎを堪能できる。
「美人の湯」なので、とにかく女性に人気が高い温泉だ。
熊野本宮 『川湯温泉』
http://www.hongu.jp/onsen/kawayu
熊野の「川湯温泉」は名前の通り、川(大塔川)の中に温泉が湧いている。1年中無料で利用できるのが魅力だ。夏休み、冬休みは多くの家族連れで賑わう。
本当に川で温泉に浸かるので、敷居もなにもない混浴。水着を用意しよう。
夏には、川遊びと温泉を同時に楽しめるというオトクさ。冬は「仙人風呂」という巨大露天風呂が登場(12月~2月)し、地元民も観光客も入り混じり、心と体を温めてくれる。最近は海外の観光客の姿もチラホラ目にする。
熊野本宮大社にほど近く、世界遺産「熊野古道」のど真ん中にあるので、参拝や熊野古道ハイクなどのアクティビティと合わせて旅行計画を立てると、より一層楽しめるだろう。
ただ、自然の川にある温泉なので、前日、前々日の降雨量によっては川が増水し入浴できない場合もあるので、観光協会のHPをチェックしてから出かけよう。
ちなみにこの川(大塔川)の水質はこんな感じ。エメラルドグリーンだ。
『わたらせ温泉』
個人的に、和歌山の温泉でおすすめナンバーワンが「わたらせ温泉」。これまでに数え切れないほどリピートしている。宿泊してゆっくりでも日帰り温泉でも、どちらもいい。
わたらせ温泉の最大の魅力は、露天風呂。西日本最大級の露天風呂があり、その圧倒的な開放感は何物にも代えがたく、最高の贅沢である。また、わたらせ温泉は山間に位置するため、辺りは静寂そのもの。温泉の湯が流れる音だけが聞こえる。
僕がお気に入りの理由は、ここは人が圧倒的に少ないこと。大露天風呂は500人を収容できるらしいが、10人以上同時に入っているのを見たことがない。つい先日も正月の2日に訪れたが、5人だった。
また、わたらせ温泉は本宮周辺に位置し、熊野古道への無料送迎もある。熊野古道を歩く人はしばしの休憩所として利用するのもいいだろう。
鉄道はないので、お世辞にもアクセスがいいとは言えないが、田辺(国道311号)や新宮(国道168号)からの道は悪くない。(冬場は凍結注意)
わたらせ温泉の敷地内には「ひめゆり」「やまゆり」「ささゆり」の3つの宿泊施設がある。この中で「ささゆり」は露天風呂から、川を挟んだ対岸に位置しているので、ささゆりに宿泊する客は吊橋を渡って温泉に向かうことになる。これはこれで趣がある。
夏はキャンプや渓流遊びなどが楽しめるので、家族連れにも最適だ。
また、わたらせ温泉と川湯温泉は1kmくらいしか離れていないので、両方同時に楽しむこともできるのだ。
わたらせ温泉の詳細は別の記事にまとめてあるので、参考にしてもらいたい。
【和歌山温泉ルポ】渡瀬温泉「わたらせ温泉」-山間にたたずむ静かな大露天風呂は最高におすすめ
まとめ
和歌山にはまだまだたくさんの温泉がある。
決してアクセスのいい県ではないし、高速道路もまだまだ整備されていないが、それは逆に言えば、景勝地でも人が少ないことを意味する。まだ知名度の低い名湯や秘湯が残されているのだ。
上でも述べたように、今和歌山は世界から注目を集め始めている。見どころはたくさんある場所なので、気になっている人は是非一度は足を運んで欲しい。
想像を絶するような大自然が待っている。