先のエントリーで、観光地としてのニュージーランドの魅力を紹介したが、今回は、海外移住先としてのニュージーランドの魅力を伝えてみたい。
ITエンジニアは高給取りになれる
ニュージーランドでIT職は高給取りである。実際に日本からニュージーランドに移住して、豊かな生活(人間的かつ金銭的に)を手に入れたITエンジニアが何人もいる。このブログと同じはてなブログにも、『NZ MoyaSystem』のはっしーさんがいる。元社畜SIer→NZプログラマを実現した代表的な例である。
ニュージーランドの高収入職業ランキングを見てみよう。
- Information technology systems architect ー $125,000
- Information technology manager/project manager ー $115,000
- Commercial real estate agent ー $115,000
- Doctor/specialist ー $105,000
- Information technology consultant ー $105,000
右の金額は平均年収である($1=80円くらいで計算してもらえばよい)。1,2,5位がIT職で、10位まであげれば半分がIT職で占められる。
また、労働環境も完全にホワイトである。日本でも、一部の地位の高いITエンジニアは高給だろうけれども、残業が皆無ということはないだろう。
ITのスキルは、海外で働く・海外移住を成功に導く最も有効な手段の一つである。海外で働くためのスキルレベルが気になる人は、はっしーさんの記事が詳しいので参考にしてもらいたい。
銀行の預金金利がいい(3%以上)
2016年7月時点で、ニュージーランドの政策金利は2.25%。これは過去最低水準なのだけれど、マイナス金利の日本から見れば高い数字である。過去の変動幅は2.25%~8.25%である。
現在のニュージーランドの市中銀行の定期預金金利は3.0% ~3.5%なので、100万円預金しておくと年間3万円の利子がつく。今後、政策金利が以前の水準に戻れば銀行の金利も5、6%台になる。
日本の銀行では最高で0.2%くらいだろうか。100万円の預金に対して年間2千円の利子である。
ちなみに、政策金利が高いからといってニュージーランドは発展途上国ではない。これまで銀行が潰れたという話もない。むしろ近年は国内景況もよく経済はすごく安定している。国の財政収支も先4年間、黒字の見通しを示している。
10年居住すれば年金がもらえる
日本では国民年金保険料を25年間(近い将来10年になる可能性がある)納めてはじめて年金の受給資格を得る。そして受給額は納めた保険料に比例する。
しかし、ニュージーランドでは事情は全く異なる。簡単に書くと「10年住めば年金がもらえる」。これでは少し乱暴なので、詳しい年金受給条件の詳細を書いておく。
- 65歳以上の市民権、永住権保持者が対象
- 20歳以降、ニュージーランドに10年間居住
- 上記10年間のうちの5年は50歳以降に居住
- 申請時にニュージーランドに住んでいる
そもそも「納めた分だけ将来もらえる」仕組みではないため、毎月保険料を徴収されない。また年金額は、そのときの個人の状況(独身/既婚か、持ち家に住んでるか/借家に住んでるかなど)によって決定される。
4週間(年間)の有給休暇が法律で義務付けられている
ニュージーランドでは、1年間の労働に対し、4週間の有給休暇を与えることが法律で決められている。
労働者側から有給の予定を通知しないと、「あなたはいつ有給を取るの?」と上司または人事から伺いがくる。ごく一部(とくに移民者経営)の組織ではブラックなところもあるが、現地企業であれば、ほぼ間違いなくこの仕組は徹底されている。
なので、ほとんどの人は毎年約1ヶ月間の休暇を取り、家族や友達と海外に長期旅行などにでかけたりする。
現地で暮らす日本人も同様で、この有給休暇を利用して帰国し、便利で食べ物が美味しい日本で1ヶ月ゆっくり過ごすというライフスタイルを満喫している人も多い。また永住者であれば、新幹線の乗り放題チケットを買うことができるので、日本国内をお得に回ることもできる。
ニュージーランドはワークライフバランスに優れた国である。「休まないと働けない」という考えが国民の共通認識としてある。
永住権が永遠
基本的に、海外の永住権というのは「無条件に永遠に住める権利」ではない。
例えば、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、これらの国では永住権を取得したとしても、その後もその国に居住して一定条件(居住日数など)を満たし続けないといけない。満たせなければ永住権は失効する。
その一方で、ニュージーランドの永住権は失効することがない。厳密には最初の2年間こそ居住条件があるのだが、取得して2年経過すれば「永遠の永住権」になる。死ぬまで、永久にニュージーランドに出入り&居住自由となる。
実際にぼくは現在、日本に居ざるを得ない理由があり日本で暮らしている。すでにニュージーランドを離れて3年近くになるが、他の国の永住権なら確実に失効している。
居住地のリスクヘッジを考えて海外移住を検討する人にとっては、この点でニュージーランドはかなり魅力的な国である。現にこれを理由にニュージーランドの永住権を目指している人も多い。
平和
英国のInstitute for Economics & Peaceによって2016年6月に発表された「平和な国ランキング」でニュージーランドは4位となっている。(日本は8位)
ニュージーランドには凶悪犯罪がないとは言わないが、そもそも人口が少ないので犯罪件数が少ない。日本の3/4の国土にたった450万人が住む小さな国である。犯罪率も低い。また他にも、「平和」と謳える要素がいくつかある。
- 南半球の島国なので他の国から遠い。
- 唯一の隣国オーストラリアとも仲がいい(ラグビーの試合となると話は別)
- 先住民(マオリ族)とも比較的うまくやっている。
- 主張が強くどんどん前に出て行くタイプの国民性ではない。
海外移住することを考えた場合、平和であるということは重要な要素である(とくに家族持ちの人にとっては)。世界の中で日本より安全な国というのは、そうそうないのである。
ニュージーランドの平和さは、次に述べる海外移住者にニュージーランドが人気の理由にもつながっている。
海外移住者が住みやすい国
100カ国の22,000人の海外移住者を対象にした、HSBCの「Expat Explorer Survey(海外移住者調査)」で2015年の海外移住者が選ぶ住みやすい国ランキングでニュージーランドは2位である(1位はシンガポール、日本は24位)。
ニュージーランドが住みやすい国と評価された理由には以下のようなポイントが挙げられている。主に生活の根幹に関わる項目で高評価を得ている。
- 子育てしやすい環境
- 現地人がフレンドリー
- 質の高い生活を送れる
- ワークライフバランスに優れている
- 現地に馴染みやすい
ニュージーランドに移住した人の77%(全ての国の中でトップ)が「以前に比べ、生活の質が向上した」と答えている。また、ニュージーランドの海外移住者は「長い期間ずっとその国にとどまる人が多い」のが特徴という。
最後に
この記事では、海外移住先としてのニュージーランドの魅力を伝えることが主旨だったので、いい面だけを切り取って書いてきた。
もちろん、逆にニュージーランドに住むデメリットもたくさんある。
- 近年、物価が高くなっている(特に不動産)
- 日本のような利便性はない
- あらゆるモノの選択肢が少ない
- 人は優しいが、いい加減
- 自然ばかりで刺激が少なくてつまらない
などが、代表的なところ。決して楽園ではないことは強調しておきたい。
僕自身は、手放しに海外礼賛するつもりもないし、全ての人が海外に適しているはずもないと考えている。
世界の中でも豊かで幸せな国の一つである日本にいれば、あえてリスクを冒して外に出る必要もない。
ただしかし、日本だけが住む場所でもない。
多くの人が自分の目で広い世界を見た上で、自分に最適な居場所を探し、そこで生きるためのスキルを磨き、各々の力で住む場所を選べるようになればいいなと思っている。
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