英文法の良書と呼ばれるEnglish Grammar in Use(イングリッシュグラマーインユーズ)について詳しく説明する。
具体的には、English Grammar in Useの世界での評判や学習者の評価・レビュー、種類と学習レベル、学習メリット、そしてその使い方や勉強法までを詳しく解説する。
初版発行から30年超、全世界1500万部発行(シリーズ累計)の実績を持つ、この本のクオリティと信頼性は間違いないのだが、洋書ということもあり日本語で書かれたインターネット上の情報はひどく断片的で、ユーザーが正しい情報にアクセスすることが難しい。
そこでこの記事では、散々に散らばっている情報を一箇所にまとめてみたい。
目次
各項目に分けてEnglish Grammar in Useについて詳しく解説していくが、かなりのボリュームになってしまったので、以下の目次から興味のある項目を選んで読んでいただけると幸いだ。
- 目次
- English Grammar in Useとは
- 世界での評判と学習者の評価レビュー
- 内容と学習メリット
- Grammar in Useシリーズの選び方
- English Grammar in Useをどこで購入するのが最適か
- Grammar in Useシリーズの種類一覧
- イギリス英語版とアメリカ英語版の違い
- English Grammar in Useの使い方と勉強法
- English Grammar in Useのスマホアプリ
English Grammar in Useとは
世界的で評価される英文法参考書のバイブル
English Grammar in Useは世界中でベストセラーとなった実践的な英文法の参考書である。今現在、世界各国の語学学校で使用されていて、世界中の英語を学ぶ人々から「英語学習のバイブル本」と評価されるほどクオリティの高い本である。
English Grammar in Useのエッセンスについてはこちらで過去に詳しく書いているので、参考にしてもらいたい。
English Grammar in Useがあれば、英語の基礎を完全に身に付けることができる。
版を重ね世界的ベストセラーに
English Grammar in Useは1985年にRaymond Murphy(レイモンド・マーフィ)によって書かれ、イギリスのCambridgy University Press(ケンブリッジ大学出版)から出版された英文法書。その後、アメリカ英語版(Grammar in Use Intermediate)が出版され、徐々に世界での評価を高めていった。日本でも「マーフィ本」として英語学習の間では有名。
現在、イギリス英語版は2015年7月に出版された第4版(English Grammar in Use 4th Edition)が最新版、アメリカ英語版は2009年3月に出版された第3版(Grammar in Use Intermediate 3rd Edition)が最新版である。
購入する場合は、最新バージョンを手にするのがいい。版を重ねるごとにデザインや内容も洗練されてきているので、あえて古いバージョンを選ぶ必要はないだろう。
世界での評判と学習者の評価レビュー
僕が海外で見聞きした評判
僕自身が海外で見聞きした評判では、本家のイギリスはもちろんニュージーランド、オーストラリアでは間違いなく、English Grammar in Useは語学学校で最も使用されているテキストである。僕も使っていたし、他の多くの語学学校でも使用されているのを見てきた。僕の各国の知り合いや友達も含め、多くの学習者から愛用されていた。
English Grammar in Useが高い評価をうける理由としては、
- 解説がやさしく詳細でわかりやすい
- ネイティブ目線の実践英語が学べる
- 英文法が網羅されていて体系的に学べる
主にこれらがあげられる。(本書の内容やエッセンスの詳細については後述する。)
ネット上の評価
「バイリンガール英会話」はご存知の人も多いだろう。米国在住の有名なバイリンガルYoutuberが英語学習のノウハウを教えてくれる。その中で、English Grammar in Useが紹介されている回がある。
この動画の中に登場する英字新聞社ジャパンタイムスの編集長は、English Grammar in Useを英語学習の「世界的ベストセラー」として紹介している。「コミュニケーションを取るための文法書」で、実践的な「使える英語」が学べる本だと説明している。
北米(アメリカ&カナダ)の英語圏でも、ベストセラーとして英語学習者に愛用されている証拠だ。
日本でも知名度は向上中
最近では、ここ数年ブームのフィリピン留学などでもアメリカ英語版(Grammar in Use Intermediate)が使用されているのをネット上で見かける。
もちろん、日本人の間でもその評価は高い。洋書ということで、これまではそれほど一般的ではなかったが、最近はブログなどで学習者のレビューとして紹介される機会が増え、日本でもその知名度は高くなってきている。Amazonのレビュー評価でも、以下の様なコメントが多数みられる。
- ネイティブの先生にススメられたので購入した。
- ネット上の評判がよく、その通りの内容だった。
- 学校で習った英語は何だったんだと思う。
- 学校の教科書にしてほしい。
- 目からウロコの英語テキスト。わかりやすい。
内容と学習メリット
English Grammar in Useの中身(PDF)
English Grammar in Useの内容を確認したい人は、出版元ケンブリッジ大学出版のHPでサンプルのPDFが配付されているので、こちらから内容(一部抜粋)が確認できる。
▶English grammar use 4th edition | Cambridge University Press
見開きは下図のような構成となっていて、左1ページが文法項目の解説や用例、現場での使われ方などがわかりやすく詳細に解説されている。右1ページは演習問題となっていて、学習理解を深めたり復習するのに便利である。
学習効果とメリット
English Grammar in Useで学ぶメリットは、
「使える」英語を学ぶことができる
の一言につきる。実践的で正しい英語を学ぶことができ、その得た英語の知識は、そのままリアルな世界で使用することができる。
たいてい英文法の勉強というとつまらないのが普通だが、English Grammar in Useは読めば読むほど英語の面白さが伝わってくる。そして目からウロコが落ちる。今までの英語の勉強はなんだったのだ、と思う。
English Grammar in Useでは、ネイティブが会話の現場で使う表現や、使い方、似た表現のニュアンスの違いなどが詳しく説明されているので、英語のリアルを感じることができるのだ。そして、勉強を続ければ自分の英語も通じるようになることを理解させてくれる。
Grammar in Useシリーズの選び方
「English Grammar in Useがいい」と聞きネットで探してみると、似たような本がたくさん出てくる。English Grammar in Useの種類は多く、どれを選んでいいのかわからない。ここで迷子になってしまう人が多い。
購入を考えている人は以下で説明する3つのポイントをまず確認しよう。そうすれば、自分に合った1冊が選ぶことができるだろう。
選ぶのが面倒だから1冊おすすめを紹介してくれというならば、間違いなくイギリス英語版の中級をおすすめする。もっともバランスが良い。
1.イギリス英語かアメリカ英語か
まず、English Grammar in Useシリーズは大きくわけて、イギリス英語版とアメリカ英語版がある。イギリス英語版が本家である。イギリス英語版とアメリカ英語版の違いの詳細は後述するが、あまり深く気にしなくてもいいだろう。
クオリティの高さはどちらも同じで、イギリス英語圏、アメリカ英語圏ともにベストセラーである。(というか世界中でベストセラー。)
イギリス英語版には、初級、中級、上級の3段階のレベル分けがあり、またそれぞれeBook付き版とCD付き版、テキストのみ(CD/eBookのどちらもなし)の種類がある。強いこだわりがなければ、選択肢の多いイギリス英語版の中から選ぶのがよい。ただ、どうしてもアメリカ英語にこだわるならば、この限りではない。(後述)
2.自分に合った学習レベルで選択
イギリス英語版は、自分の英語力に応じて、初級(赤)、中級(青)、上級(緑)の3段階から選ぶことができる。色分けされているので区別しやすい。英語を学ぶときは、自分の実力のちょい上くらいの参考書が最適だ。
これに対し、アメリカ英語版は初級と中級の2種類の選択となる。
▶中級:Grammar in Use Intermediate
上でも述べた通り、どれか1つをオススメするとすればイギリス英語版の中級がいい。しかしどの本を選んでも英語で英語を学ぶことになるので、英語の解説を読んで理解できる程度の英語力は必要となる。
例えば中級を選ぶとすると、読み進めるためには中学レベルの英語を読解できる必要がある。超初心者では中級は無理である。解説の文章は、わかりやすく書かれているのでそれほど難しくはないのだけれど、もし中級レベルの英語力に自信がなければ初級から入るのがいいだろう。
上級はかなり難しい。そうとう英語力に自信のある人だけにおすすめする。無理をして上級からはじめてもわからない箇所が多すぎると挫折するので、できれば中級から入るのがいい。
3.CD(PC)で学ぶか、eBook(タブレット)で学ぶか
イギリス英語版だけCD-ROM付か、eBook付を選ぶことができる。アメリカ英語版はCD-ROM付のみである。
CD-ROM付版を購入すると、本にCD-ROMが付属している。そのCD-ROMからPCにEnglish Grammar in Useの学習ソフトをインストールして本書の内容を復習&演習することができる。テキストと並行して、このソフトを使えば学習をより効果的にすすめることができるだろう。
eBook付版では、本書の内容を全て収録したコンテンツをオンラインまたは電子書籍としてダウンロード(タブレットに)して音声付きで学習することができる。eBookのコンテンツの見た目はこのような感じである。
(画像出典:Cambridge University Press)
このeBookのコンテンツは個別でも購入できるのだが、書籍を購入すれば付属してくるのだから、これ単品での購入はあまりメリットがないだろう。
CDまたはeBookが必要か否かは個人の学習スタイルによる。テキストのみで英文法を独学する方が向いているという人はCDもeBookも不要だし、PCやタブレットを使ってインタラクティブ(対話的)に学習していきたいという人は、CDやeBookの学習ソフトは便利なツールとなるだろう。
English Grammar in Useをどこで購入するのが最適か
現時点では、Amazon一択である。
価格や送料を考えても最もお買い得で、普通の学習者が必要なエディションは全て揃っている(次項参照)し、レビューも充実している。
それに学生の人なら「Amazon Student」を利用すれば、10%ポイント還元でEnglish Grammar in Useを購入できる。Amazon Studentは6ヶ月の無料お試し期間があり、音楽や映画が見放題になる学生向けのオトクなサービス。
書店では、洋書の扱っている都市の大型店舗に行く必要があるだろう。それに実際出向いても、欲しいエディションがない場合も多いだろうから、結局注文になる。
楽天ブックスや他のネットショップでも確認してみたが、購入できるエディションの種類が極めて少ない。またEnglish Grammar in Useは洋書なので、海外のサイトからも通販で購入することができるが、やはり信頼性の面で難がある。国際送料もデメリットなる。
Amazonで買うのがいいだろう。中古もたまに出回っている。
念のため、楽天市場の品揃えもコチラにまとめた。
【楽天市場編】Grammar in Useシリーズの選び方ガイド
Grammar in Useシリーズの種類一覧
上で述べた3点を確認して、自分の英語レベルや学習スタイルに適応した1冊を選ぼう。下の図で選択の対象となる種類の一覧を示しておく。
※ 注意(選び方をシンプルにするために)
Grammar in Useシリーズにはここに挙げる以外にも、問題の解答なし版や古いエディションなどが多数ある。しかしこれらは、一般の学習者には必要のないバージョンであり、コレクターでもない限り、あえてこれらの購入を検討する必要はない。
全てを書き出すと表記が複雑になり読者の混乱を招きかねないので、ここでは不要なバージョンは紹介しない。
楽天English Grammar in Useを選ぶ場合はこちら。
【楽天市場編】Grammar in Useシリーズの選び方ガイド
イギリス英語版:初級(テキストのみ、CD-ROM/eBookなし)
イギリス英語版:初級(CD-ROM付版)
イギリス英語版:初級(eBook付版)
イギリス英語版:中級(テキストのみ、CD-ROM/eBookなし)
イギリス英語版:中級(CD-ROM付版)
イギリス英語版:中級(eBook付版)
イギリス英語版:上級(テキストのみ、CD-ROM/eBookなし)
イギリス英語版:上級(CD-ROM付版)
イギリス英語版:上級(eBook付版)
アメリカ英語版:初級(CD-ROM付)
アメリカ英語版:中級(CD-ROM付)
日本語(和訳)版
English Grammar in Useの和訳版も出版されている。本家英語版のエッセンスがうまく訳されているかはわからないので、クオリティの保証はできないが、いちおうあげておく。
イギリス英語版とアメリカ英語版の違い
学習する上でその違いは重要か?
English Grammar in Useで英語を学ぶ上で、イギリス英語版がいいか、アメリカ英語版がいいかと深く悩む必要はない。正直なところ、どちらでもいい。
アメリカ英語版はイギリス英語版の著者Raymond Murphyが改編したものであり、重要なエッセンスを取り逃しているということは絶対ない。
僕はどちらも持っていて内容を比較できるのだが、どちらか一方に重要な部分が欠けていたり、一方でしか学べない文法項目がある、という致命的な違いはない。
どちらも優良な英文法書であり、どちらで学んでも学習効果はかわらない。
具体的な内容の違い
とはいっても、細かい違いが気になる人もいるだろう。イギリス英語版の付録に「American English」という項目があり、そこで双方の内容の違いが詳細に記されているので抜粋しておく。イギリス英語バントアメリカ英語版の主な違いは以下の通り。
【イギリス英語版とアメリカ英語版の主な違い】
- 言い回しの違い
(have a holiday/take a holidayなど) - つづりの違い
(apologise/apologize、colour/color、centre/centerなど) - 文法用法の違い
(現在完了の使い方、shallの使い方など) - 前置詞の用法の違い
(fill in/fill out、at the front/in the frontなど)
イギリス英語を話す国とアメリカ英語を話す国
日本人にとっては「英語=アメリカ英語」という認識が一般的だが、世界でみればイギリス英語に影響を受けた国の方が圧倒的に多い。イギリス帝国時代に植民地だった国々は全て、イギリス英語の文法や用法、スペルを基本としている。
特徴的な発音の違いでいえば、アメリカ英語では"r"を誇張気味に発音するのに対し、イギリス英語はそれほど強く舌を巻かない。逆に、イギリス英語は"t"をはっきり丁寧に発音するが、アメリカ英語では"t"が消失することが多い、などが挙げられる。
【イギリス英語を話す国】
イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、インド、シンガポール、マレーシア、香港、太平洋の島国など
【アメリカ英語を話す国】
アメリカ、カナダ、フィリピン
English Grammar in Useの使い方と勉強法
おすすめの使い方
English Grammar in Useで良質なインプット(英文法の勉強)とともに、是非実行してほしいのが、英会話レッスン。せっかくの良質なインプットもアウトプットする場がなければ、あなたの脳内から外にでていくことはない。ぜひ、下の図を意識してほしい。
日本人の英語学習はインプット偏重が多い。インプットばかりだと、英語学習自体がつまらなくなる。なぜなら、英語を身近に感じられないからだ。文系の人が「sinθ、cosθなんてどこで使うの?」という感覚と同じである。現実感がないと学ぶ意欲がなくなる。
英語も同じ。アウトプット(英会話)することにより、フィードバックが発生する。自分の英語が通じれば、喜びになり次また学ぶモチベーションになり、英語の学習を継続することができる。ちなみに英会話は、定額でレッスン受け放題のオンライン英会話『NativeCamp.(ネイティブキャンプ)』がおすすめである。コストを気にせず大量の英会話トレーニングをこなすことができる。
English Grammar in Useとオンライン英会話を組み合わせた具体的な勉強法は以下の記事で詳細に説明している。
おすすめの勉強方法
また、English Grammar in Useを使用した英文法の勉強法もこちらで紹介している。勉強法といっても、English Grammar in Useを愚直に進めていけば、自然と英語の基礎力は間違いなくついてくるだけれど。
この記事の中では、English Grammar in Useのエッセンスをサンプルを挙げて詳しく説明している。具体的には、"be going to"と"will"の違いと、"can"と"be able to"の違いを本書から抜粋して、英語圏の現場でどのように使い分けられているのかを解説している。
これらは、English Grammar in Useのほんの一部であり、本書の中には同じようなネイティブ視点の英文法のエッセンスが網羅されているので、英文法の勉強法としては本当に最強の参考書である。
もう一度しっかり英語を勉強しなおしたいという人は、是非とも手にとっていただきたい。
English Grammar in Useのスマホアプリ
最後にEnglish Grammar in Useのスマホアプリ「Murphy's English Grammar in Use」を紹介しておく。
このアプリは、Grammar in Useシリーズのイギリス英語版中級編「English Grammar in Use」と同じ内容&学習レベルである。残念ながら、初級編のアプリは現時点ではない。
このスマホアプリMurphy's English Grammar in Useのコンテンツは書籍版と全く同じなので、これをしっかりやれば実践で使える英語が期待できるだろう。
値段も2000円と書籍版より安い。ただ、発売当初(確か、1750円だった)から比べると少しずつ値上がりしているので、最新の値段はリンク先でチェックしてもらいたい。
English Grammar in Useアプリのメリット
スマホアプリ版の最大のメリットは、やはり、いつでもどこでも学習できるという点でにある。Grammar in Useシリーズの書籍版はどれも、大きくて持ち運ぶには向かない。机に向かって勉強するとき用である。これが、通勤時や外出時のスキマ時間にできるようになるメリットは大きい。
また、アプリ版は音声付きというメリットもある。例文を読み上げてくれるので文法力と同時にリスニングの練習にもなるだろう。ちなみに音声はイギリス英語。
English Grammar in Useアプリのデメリット
アプリなので一覧性にかける。コレは仕方ない。
また、アプリ版の方が演習問題が少ない。English Grammar in Useの特長に大量の良質な演習問題がこなせるという点があるのだが、アプリ版ではこの部分が削がれてしまう。
学習スタイルに合わせて書籍かアプリを選択
僕のおすすめは、書籍(CDもeBookもないエディション)とアプリを組み合わせて勉強する方法である。家では書籍版、外出時のスキマ時間はアプリ版という使い方をしている。書籍版の方が、演習問題が少し多い。アプリ版は外で復習用に使っている。
英語を真剣に勉強してみたいという人は、English Grammar in Use漬けの英語環境を作り上げるとより学習効果があがるはずだ。ぜひ試してみよう。
アプリに関してはコチラでさらに詳しく記事にしているので、もう少し詳しく知りたい人は、参考にしてほしい。